
曹洞宗の歴史と教え
曹洞宗は、日本仏教の主要な宗派であり、道元禅師によって伝えられた坐禅の教えを基盤としています。日常生活全てが修行です。






大本山永平寺 大本山総持寺

曹洞宗の教え
曹洞宗は、日本仏教の主要な宗派の一つであり、その歴史と伝統は、鎌倉時代にまで遡ります。
歴史
開祖と宗祖: 曹洞宗は、中国で始まった禅宗の一派であり、日本へは鎌倉時代に道元禅師(どうげんぜんじ)によって伝えられました。道元禅師は、24歳で中国(宋)に渡り、如浄禅師のもとで修行に励み、「正伝の仏法」を継承しました。帰国後、福井に永平寺(えいへいじ)を開き、曹洞宗の基礎を築きました。その後、瑩山禅師(けいざんぜんじ)が道元禅師の教えを全国に広め、能登に総持寺(そうじじ)を開きました。このお二人は「両祖」と仰がれ、ご本尊であるお釈迦さま(釈迦牟尼仏)とともに「一仏両祖」として崇拝されています。
発展: 臨済宗が幕府や貴族階級の信仰を得たのに対し、曹洞宗は地方の豪族や一般民衆に広く受け入れられ、教線を伸ばしていきました。江戸時代には、徳川幕府の寺檀制度により組織化と統制が進みましたが、宗学の研究も盛んに行われ、多くの優れた僧侶が輩出されました。
伝統と教え
曹洞宗の教えの根幹は、「坐禅」にあります。
只管打坐(しかんたざ): 曹洞宗の坐禅は、「只管打坐」と呼ばれ、ただひたすら坐禅することそのものが悟りであるという教えです。何かを求めたり、目的意識を持って坐禅するのではなく、一切の雑念や欲から離れ、ただ坐ることに徹することで、身と心が整い、「仏の姿」が明らかになるとされています。
行住坐臥(ぎょうじゅうざが): 曹洞宗では、坐禅だけでなく、日常生活のあらゆる行動(行:歩くこと、住:とどまること、坐:坐ること、臥:寝ること)もすべて修行と捉えます。普段の生活の一つひとつを丁寧に意識して行うことで、安らかでおだやかな日々を送り、人間として生まれてきたことの価値を見出すことを目指します。
経典・祖録: 主に読まれる経典としては、『摩訶般若波羅蜜多心経』、『妙法蓮華経観世音菩薩普門品』、『大悲心陀羅尼』などがあります。また、道元禅師の主著である『正法眼蔵』や、坐禅の仕方について著した『普勧坐禅儀』、瑩山禅師の提唱をまとめた『伝光録』などが基本となる祖録とされています。
葬儀: 曹洞宗の葬儀では、故人が仏の弟子となり、浄土へと向かうための儀式として「授戒(じゅかい)」と「引導(いんどう)」が執り行われます。特に「引導法語」は、故人への別れを告げる重要な儀式です。焼香は通常2回行われ、1回目を主香(故人の冥福を祈る)、2回目を従香(主香が消えないように香を加える)とします。
曹洞宗は、坐禅を通じた自己の探求と、日常生活における実践を重んじる、歴史と伝統ある宗派です。




道元禅師 瑩山禅師




